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禁煙外来

タバコは病気の発症リスクを高めます

タバコは健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
血管にダメージを与えて動脈硬化を進行させるほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や心筋梗塞などの呼吸器・循環器系の病気を引き起こします。
さらに、肺がん、喉頭がん、食道がん、膀胱がんなど、さまざまながん(悪性腫瘍)の原因にもなります。
しかし、禁煙することで、これらの病気のリスクを減らし、健康を守ることができます。
また、タバコの煙は本人だけでなく、周囲の人にも害を及ぼします。
特に同居する家族は受動喫煙の影響を強く受けやすく、健康被害のリスクが高まります。
ご自身はもちろん、大切なご家族の健康を守るためにも、今日から禁煙を始めてみませんか?

受動喫煙とは

タバコの煙は、喫煙者本人だけでなく、周囲の人にも健康被害をもたらします。
非喫煙者が、タバコから立ち上る煙(副流煙)や、喫煙者が吐き出した煙(呼出煙)を吸い込んでしまうことを受動喫煙と言います。 副流煙には、喫煙者が直接吸い込む煙(主流煙)よりも、有害物質が多く含まれており、その種類は200〜300にも及びます。
このうち約60種類は発がん性を持つといわれています。
また、たとえ室内で喫煙しなくても、喫煙後45分間は喫煙者の肺から有害物質が排出され続けるという報告あります。
さらに、タバコを吸う家庭の子どもは、肺炎・気管支炎・ぜんそくなどの病気にかかりやすく、親が禁煙すると9割のぜんそくの子どもが症状の改善を示すともいわれています。
また、受動喫煙のある子どもは、そうでない子どもよりも平均身長が0.5~1.6cm低くなる傾向があり、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクも、両親が喫煙する場合は4.7倍に上昇するとされています。同居する家族は、特に受動喫煙の影響を最も受けやすい存在です。 ご自身と大切な家族の健康を守るために、禁煙を始めてみませんか?

ニコチン依存症は薬物依存と同じです

タバコを簡単にやめられないのは、単に嗜好の問題ではなく、ニコチンによる薬物依存が関係しています。
ニコチンには、脳や体に快感をもたらす作用があり(身体的依存)、さらに、タバコを吸うことでリラックスしたり気分がスッキリしたりする感覚が伴います(心理的依存)。この二つの依存が重なることで、禁煙が難しくなります。
タバコをやめられないのは、意志の弱さではなく、ニコチンの強い依存性によるものです。
そのため、ニコチン依存症は治療が必要な疾患とされており、医師のサポートを受けながら禁煙に取り組むことが推奨されています。

当院で行う禁煙治療の内容

問診にて患者様の喫煙歴などを詳しくお伺いし、医師が総合的に判断したうえで禁煙補助薬を処方します。
処方後は、経過観察のために定期的にご来院いただき、生活習慣の改善に向けたアドバイスなども行います。
禁煙に関するお悩みや気になることがございましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

ニコチンが入っていない禁煙補助薬

チャンピックス(飲み薬)
(現時点では処方は不可能。出荷再開時期はまだ明確ではありません。)

主成分はバレニクリン酒石酸塩で、ニコチン切れによるイライラや焦燥感を軽減する効果があります。
また、喫煙時にタバコの味を美味しく感じにくくする作用も期待できます。
服用は禁煙開始予定日の1週間前から始め、1日2回、食後にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用します。
最初の1週間は喫煙を続けながら服用し、8日目から禁煙を開始します。
ただし、8日目を待たずに自然と喫煙をやめられた場合は、そのまま禁煙を始めても問題ありません。
一般的な服用期間は12週間で、途中で自己判断で中断せず、医師の指示に従って継続することが大切です。
副作用として、吐き気、不眠、頭痛などが報告されています。
もしこれらの症状が現れた場合は、服用を中止し、速やかにご連絡ください。

ニコチンを補給する禁煙補助薬

ニコチンパッチ(貼り薬)

ニコチンを含む貼り薬で、皮膚からゆっくりとニコチンが吸収される仕組みになっています。
タバコには200種類以上の有害物質が含まれていますが、ニコチンパッチはニコチンのみを含むため、比較的安全とされています。
ニコチンパッチには医師の処方が必要なものと、薬局で購入できるものがあります。
使用方法は、1日1回、上腕、腹部、腰背部などに貼ります。
ただし、同じ場所に連続して貼るとかぶれる可能性があるため、毎日異なる部位に貼るようにしてください。
また、1日2枚以上貼るとニコチンを過剰に摂取することになるため、使用量を守ることが重要です。
さらに、ニコチンパッチを貼った状態で喫煙したり、ニコチンガムを併用したりすると、吐き気やめまい、腹痛などの副作用が生じる恐れがあるため、絶対に併用しないようご注意ください。

ニコチンガム

ニコチンを含むガムで、薬局で処方箋なしで購入できる禁煙補助薬のひとつです。
噛むことでニコチンが口内の粘膜から吸収され、禁煙によるイライラやストレスを軽減します。
使用する際は、1回につき1個のガムを噛み、徐々に使用回数を減らしていくことが大切です。
ニコチンパッチと同様に、有害物質はニコチンのみを含みます。
副作用として、のどの痛みや刺激感、吐き気、胸やけ、頭痛、めまいなどが報告されています。
また、医薬品のため、普通のガムとは異なる噛み方が推奨されます。
必ず正しい使用方法を守り、適切に利用することで禁煙効果を高め、副作用のリスクを抑えましょう。

条件によっては保険診療が適用されます

現在、禁煙治療は健康保険の適用対象となっており、患者様の自己負担が以前より軽減されています。
ただし、保険を適用するためには、一定の条件を満たす必要があります。
これらの条件は、初回の診察時に医師が確認を行うことが定められています。
なお、条件に当てはまらない場合でも、自費で治療費を負担することで禁煙治療を受けることは可能です。

禁煙治療が保険適応になる条件

  • ニコチン依存症のテスト(TDS)で5点以上であること
  • ブリンクマン指数が200以上であること(35歳以上の方)
    計算方法:1日あたりの喫煙本数 × 喫煙年数
    例:25歳から1日15本吸っている45歳の方 → 15本 × 20年 = 300(条件に該当)
  • 禁煙の意思があり、すぐにタバコをやめたいと考えていること
  • 医師の説明を受け、内容に納得したうえで同意書に署名すること

※過去に健康保険で禁煙治療を受けたことがある場合、前回の初診から1年が経過していないと保険適用外(自由診療)となります。

ニコチン依存症を診断するテスト(TDS)

【はい:1点/いいえ:0点】 ニコチン依存症の可能性が高いのは5点以上と言われております。

Q1 自分が思っているより多くのタバコを吸ってしまった事がある。
Q2禁煙や吸う本数を減らそうとしてもうまくいかず、断念した事がある。
Q3禁煙や吸う本数を減らそうとして、タバコが欲しくてたまらなくなった事がある。
Q4禁煙や吸う本数を減らそうとして、以下のいずれかに当てはまった事がある。
苛立ち/神経質/落ち着かない/集中できない/気持ちが憂うつになる/頭が痛い/眠気/胃のむかつき/脈が遅くなる/手が振るえる/食欲増加や体重が増える
Q5「Q4」で当てはまった症状の解消のために、またタバコを吸った事がある。
Q6大きな病気にかかった際に、タバコが良くないと分かっていても吸った事がある。
Q7タバコによる健康被害が起こると分かっていても吸った事がある。
Q8タバコによる精神被害が起きていると分かっていても吸った事がある。
Q9タバコに依存していると感じる事がある。
Q10タバコを吸えない環境(仕事や付き合い)を避けようとした事が何度かある。

禁煙治療の流れ

1

まず、喫煙状況やニコチン依存度、禁煙の意志などを確認し、あわせて呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。
その結果から適切な治療法をご提案します。

2

その次に詳しい診察を行い、禁煙を始める期間や適応する薬(内服薬や貼り薬等)を決めます。

3

2~4週間ごとに受診いただき、禁煙期間で困っている事やその対処法等についてカウンセリングを行い、治療を進めます。

多くの禁煙を達成した患者様で見られるのは、治療が始まったその日にタバコを捨てて、吸わない決断をしたことです。
徐々に本数を減らしていく方法もよく見かけますが、私の経験では成功率が低いように思います。
思い切って、今日、この瞬間から一緒に禁煙を始めましょう。

禁煙治療にかかる費用と比較

禁煙治療の費用は、使用する薬の種類によって異なりますが、3割負担の場合、8〜12週間の治療でおよそ13,000円〜20,000円かかります。
1日1箱タバコを吸う方の場合、8〜12週間分のタバコ代と比べると、3割負担で禁煙治療を受けるほうが経済的にもお得だと言われています。

8〜12週間分のタバコ代 ※1日1箱500円換算 8〜12週間分の禁煙治療費 (3割自己負担額)
28,000円〜42,000円 13,000円〜20,000円

定期的な肺がん検診がおすすめです

肺がんは、日本におけるがんの死亡原因として、男性では第1位、女性では第2位と非常に多い病気です。
しかし、初期段階では自覚症状がほとんどなく、咳などの症状があっても風邪と勘違いし、見過ごされがちです。
早期発見のためには、定期的な検診が欠かせません。自治体などが実施する肺がん検診では、主にX線検査と喀痰(かくたん)細胞診が行われます。また、専門病院などで受けられるCT検査は、X線検査に比べて約10倍の精度で肺がんを発見できると報告されています。
喫煙者はもちろん、受動喫煙の経験がある方も、定期的な検診を受けることをおすすめします。
当院では、院内で可能なXp検査だけでなく、必要性やご希望に応じて、CT検査ができる外部の医療検査機関にご紹介しております。
そこで検査を受けていただき、放射線専門医の読影後に当院にて結果説明を行う体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。